年末調整していても、確定申告って必要なのですか?
必要なら、どうしたらいいのだろう?
年末調整をしていても、副業で20万円以上の所得があれば確定申告が必要です。
なぜ必要なのか?どうやって進めるのかを説明します。
記事を読み終われば、確定申告にどう対応するのかがわかります!
【目次】 クリックで該当箇所へ移動!
サラリーマンで確定申告が必要なのは「副業」で20万円以上稼いだ人
サラリーマンで確定申告が必要なのは、本業以外からの所得が20万円以上ある人です。
収入と所得の違い
収入:副業をして得られるお金の総額。
所得:収入から、控除額や経費を差し引いた金額。
会社員や公務員などの給与所得者は、年末調整が行われるため、通常は副業をしなければ確定申告は不要です。
年末調整とは?
会社員・公務員などは毎月の給料から税金が天引きされている。
毎月天引きされている納税金額が正しくないこともあるため、年末に納税額を最終調整すること。
いくらから?いつから?確定申告が必要な人
副業で20万円の所得を得た場合は、確定申告が必要だと説明しました。
イメージするために、ザックリとですが例を挙げます。
所得計算の例
副業収入25万円-経費3万円=所得22万円 ⇒ 確定申告が必要!
副業収入25万円-経費8万円=所得17万円 ⇒ 確定申告は不要!
例からわかる通り、副業収入から経費を差し引いた所得が、20万円以上あれば確定申告をしなければなりません。
経費が大きく掛かった場合は、所得が小さくなるので不要となるケースもあります。
また、確定申告の時期について、いつからいつまでに行わなければならないか?
まず、提出年の前年1月1日~12月31日の期間について、所得額と所得税を計算します。
計算をまとめた確定申告書の提出は、毎年2月16日~3月15日の1カ月間が原則です。
ポイント
国税庁は、令和3年(2021年)の確定申告期間を1カ月延長し、4月15日までとした。
令和3年(2021年)の確定申告期間 : 2月16日 ~ 4月15日
緊急事態宣言が3月7日まで延長されたため、確定申告会場の混雑回避の徹底を図るために申告期限が延期された。
また、個人事業主の消費税と贈与税の申告も4月15日まで延長される。
この他に副業以外の理由で、サラリーマンが確定申告をしなければならないケースも合わせて紹介しておきます。
- 給与年収が2,000万円を超える人。
- 2か所以上から給与をもらっている人。
- 贈与を110万円以上受けた人。
- 医療費を10万円以上支払い、医療費控除を受ける人。
- マイホームを購入し、住宅ローン控除を受ける人。
- 不動産を売却した人。
- 保険の満期金を受け取った人。
副業で稼いだ場合、副業以外の場合、それぞれ得をすることも多いため覚えておくとよいでしょう。
確定申告が不要でも「住民税の申告」が必要なケース
副業での所得が、20万円以下では確定申告は不要です。
しかし、住民税の申告は、所得が20万円以下でも必要となります。
住民税の申告は、1月1日に住民登録している市区町村に、前年の所得を申告するものです。
住民税の申告は、収入があってもなくてもしなければなりません。
正しく、国民健康保険税を計算したり、所得証明書や課税証明書を発行したりするのに必要なものです。
ただし、以下のいずれかにあてはまれば、住民税の申告は不要となります。
- 前年分の確定申告をする。
- 前年度の収入が給与のみで、会社が市区町村へ給与支払報告書を提出した。
- 前年度の収入が公的年金のみで、公的年金支払者が市区町村へ公的年金等支払報告書を提出した。
- 前年度の収入が給与と年金のみで、会社と年金支払者が市区町村へ支払報告書を提出した。
- 住民登録地が同じである、親族の税法上の扶養に入っている。
つまり、確定申告をするか、収入が給与と年金だけであれば、住民税の申告は不要ということです。
確定申告の仕組み
副業で稼いだら確定申告が必要な理由
多くの会社員などは、住宅ローン控除・医療費控除・ふるさと納税などの寄付金控除を利用していなければ、確定申告をしたことはないと思います。
それは、会社に毎月の給与から所得税を天引きしてもらって、年末調整で年間の所得税の清算をしているからです。
年末調整は、会社から支給された給与のみを計算するものです。
副業の所得は年末調整の計算に含まれていないため、申告漏れとなってしまいます。
そのため、副業があるサラリーマンは、本業の給与と副業の収入を合わせて、税務署に確定申告をする必要があるのです。
副業サラリーマンが知っておくべき関連用語
これまでに登場した用語、これから登場する確定申告の関連用語を紹介しておきます。
何となく意味がわかっていると、理解もしやすくなるでしょう。
確定申告の関連用語
- 所得 :収入から経費を差し引いた金額のこと。
- 源泉徴収:毎月の給料から、税金を事前に差し引くこと。
- 年末調整:源泉徴収された納税金額を、年末に最終調整すること。
- 控除 :一定の金額を差し引くこと。
- 所得税 :所得から所得控除を差し引いた金額に、税率をかけて算出した税金のこと。
- 確定申告:所得を申告し、納税するための手続き。年末調整をしていない人、他に所得がある人などは確定申告が必要。
確定申告をすると税金が戻ってくる
確定申告をすることによって、税金の還付を受けられる場合があります。
税金の還付が受けられるケース
- 源泉徴収された所得税額より、確定申告した所得税額の方が少なくなる時。
- 確定申告しないと受けられない控除(住宅ローン控除・医療費控除・寄付金控除)がある時。
- 事業所得・譲渡所得・不動産所得などが赤字で、他の所得と相殺できる時。
税金が戻ったり、納税額が減ったりするということは、自身の利益につながります。
損をしないように、利用できる制度は、しっかり活用しましょう。
収入から経費を差し引いたのが所得
収入から経費を差し引いたものが、所得であると説明してきました。
副業に関する、様々なものが経費として扱えます。
必要経費を計算し、所得金額がどの程度になるか確認をしておきましょう。
経費は、何でもかんでも計上していいわけではありません。
自宅用に買った文房具を計上してはいけませんし、プライベートと副業の両方で使用しているPCを全額経費にしてもいけません。
使用している比率が半分であれば、10万円で購入した場合、5万円だけ計上(按分=分けること)します。
あくまでも、副業のために購入したものだけが、経費として扱うことができます。
10種類の所得
所得の種類は、全部で10種類あります。
- 給与所得
- 事業所得
- 利子所得
- 配当所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 山林所得
- 退職所得
- 不動産所得
- 雑所得
記事の後半では、副業に関係する所得として、譲渡所得・配当所得・雑所得・不動産所得・事業所得を紹介します。
これらの中でも事業所得は、認められるかどうかがむずかしいものになります。
事業の営利性・事業継続性などが認められる場合は事業所得、そうではないお小遣い程度の場合は雑所得として扱われます。
事業所得と、雑所得のボーダーラインは非常にあいまいです。
事業所得は得られる恩恵が大きいため、事業所得として認めてもらえないケースもあります。
事業所得として計上したい場合、税務署に相談することをオススメします。
確定申告に必要な書類
サラリーマンが、確定申告をする際に必要な物を紹介します。
確定申告の際に必要な書類
- 源泉徴収票
- 医療費の領収書など(医療費控除用)
- 保険料の控除証明書(年末調整に間に合わなかったもの)
- 寄附金の受領証(寄付金控除用)
- 経費の領収書など
- 確定申告書
- 他、付表、計算書、説明書
申告の内容によって、必要となる書類も変わってきます。
副業の種類、控除を受けたい内容に合わせた準備が必要です。
確定申告のメリット・デメリット
確定申告をするメリット
確定申告のメリットは、以下のとおりです。
- 所得控除・税額控除が給与所得だけで引ききれない場合、その他の所得から差し引ける。
- 副業が、事業所得、不動産所得の場合、赤字となった際に給与所得と相殺ができる。
- 青色申告で事業所得、不動産所得で赤字がある場合、赤字を翌年以降3年間繰り越して相殺できる。
- 株式投資・FXにより赤字が出た場合、赤字を翌年以降3年間繰り越して、その後の取引で相殺できる。
- 住民税の申告が不要
所得が圧縮できるため納税額が減らせる、赤字を相殺できるなどが主なメリットです。
確定申告をしないデメリット
確定申告のデメリットは以下のとおりです。
- 無申告加算税:申告で納める税額50万円までは15%、50万円を超えた部分は20%の無申告加算税がかかる。
- 重加算税 :申告しなかったことが悪質であると判断された場合、最大40%の重加算税がかかる。
- 延滞税 :確定申告期限を過ぎてから税金を納めた場合、遅れた期間に応じて最大14.6%の延滞税がかかる。
- 住民税の申告が必要
通常より、多くの税金を支払わなければならない可能性があることが最大のデメリットです。
大きな税率のペナルティを受けると、副業での利益を大幅に減らしてしまうでしょう。
副業の種類による確定申告のやり方・進め方
副業の種類によって、確定申告の手順や注意点が異なります。
あなたが関わる副業について、ポイントを押さえておきましょう。
「譲渡所得・配当所得」株式投資
株式投資の売買による利益は譲渡所得、受け取った配当による利益は配当所得に該当します。
株式投資は、売買をしている口座によって、確定申告が必要かどうか決まります。
下記の表によって判断しましょう。
口座種類 | 確定申告 |
特定口座(源泉徴収あり) | 不要 |
特定口座(源泉徴収なし) | 必要 |
一般口座 | 必要 |
NISA口座 | 不要 |
特定口座(源泉徴収あり)では、証券会社が取引の際に、税金を天引きしてくれるため確定申告は不要です。
特定口座は、源泉徴収ありとなしがあるため、注意して取引をしましょう。
NISA口座は、基本的には確定申告は不要です。
しかし、20万円を超える利益を受け取った場合は、確定申告が必要となります。
「雑所得」FX・クラウドソーシング・アフィリエイト
FX取引、事業レベルではないクラウドソーシングや、アフィリエイトの扱いは雑所得です。
お小遣い程度の多くの副業は、雑所得に該当します。
FX取引は、期間損益計算書を利用し確定申告を行います。
ネット証券会社のサイトにログイン後、ダウンロードし取得可能です。
クラウドソーシングやアフィリエイトは、収入は支払い明細など、経費は領収書などから集計し確定申告を進めます。
支払先、金額、内容などを、帳簿として管理する必要があります。
「不動産所得」不動産賃貸
不動産投資により、賃料収入を得ている場合は不動産所得に該当します。
収入は、賃料の支払い明細、収入がわかる通帳や契約書などから計算できるでしょう。
経費は、領収書、請求書などから計算することができます。
支払先、金額、内容などを、帳簿として管理する必要があります。
「事業所得」事業性があり継続し大きな収入が得られる副業
副業を事業所得として認定してもらうのはカンタンではありません。
ですが、事業所得として扱えるメリットは大きなものです。
- 給与所得などとの損益通算。
- 青色申告特別控除の適用(最大65万円の控除が受けられる)
- 青色事業専従者給与の適用(事業に関わる、配偶者や親族に支払った給与を、経費として計上できる。)
メリットが大きいので、認められる条件も厳しくなります。
事業所得に認められるには!
- 事業主が商品を仕入れたり、経費をかけたり、労力を費やしているか。
- 一度だけではなく、継続して事業が行われているか。
- 社会一般で考えて、事業と言えるかどうか。
- 収入と経費の記録がきちんと残されていること。
事業所得も当然、支払先、金額、内容などを、帳簿として管理する必要があります。
事業所得と認められることが、厳しい理由には、事業所得のメリットを悪用し、納税額を減らす方がいるためです。
認められるかどうか、確定申告をする前に、税務署に相談してみるとよいでしょう。
副業サラリーマンが確定申告をする際のポイント
副業サラリーマンが、確定申告で特に気になるポイントをピックアップして紹介します。
心配や不安は、きちんと解決しておきましょう。
会社に副業での収入がバレたくない!
確定申告をして、副業が会社にバレたという話を聞くと思います。
これは、確定申告をしたこと自体が悪いわけではありません。
確定申告の際の、記入の方法が悪かったために、会社に知られてしまったのです。
住民税は、前年度の所得に応じて決まるため、副業で所得が増えると納税額も増えます。
会社員や公務員は、所属する会社や組織が、毎月の給与から自治体へ代わりに納税してくれます。
そのため、給与に対して納税額が多いと、何か他に収入があると気づかれるわけです。
会社や組織に副業がバレないようにするのは、実は非常にカンタン!
確定申告をする際に、たった1か所マル印をつけるだけです。
確定申告書の第二表で、給与・公的年金以外の住民税の納付方法を「自分で納付」にマル印をつければOK!
自分で納付を選択すると、副業分の住民税を自分で支払うようにできます。
この、住民税を自分で納付することを、普通徴収といいます。
本業の給与所得の納税 | 副業の所得の納税 | 結果 | |
確定申告で普通徴収を選択 | 会社がしてくれる | 自分でする | ばれない |
確定申告で特別徴収を選択 | 会社がしてくれる | 会社がしてくれる | ばれる |
確定申告は、正しく申告することで安心して行うことができます。
「楽々・カンタン・早く」終わらせたい!
初めて確定申告をする方も、何度か経験している方も、確定申告には手間と時間がかかると思います。
原因は、以下などでしょう。
- 年に1回だから、手順や方法を忘れてしまう。
- 帳簿作成、税金の計算が必要。
- 提出書類の準備。
副業に集中するために確定申告は、楽々と、カンタンに、早く終わらせるのが理想です。
その方法を紹介します。
会計ソフトを利用する
会計ソフトを利用して確定申告を行います。
帳簿、収支内訳書、所得税の確定申告書などが、初心者でもカンタンに作成することができます。
簿記の知識がなくても、家計簿やお小遣い帳のような感覚で使うことができるでしょう。
確定申告の書類も、案内にしたがって作成ができ、会計ソフトから電子申告もできます。
むずかしい税金や、控除金額の計算も不要なのは嬉しいポイントです。
銀行口座や、クレジットカードの取引データも、設定すると自動で取り込んでくれるため、日々の管理もかなり楽になるでしょう。
オススメの会計ソフトを、いくつか紹介しておきます。
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税理士に依頼する
確定申告を、税理士に依頼する方法もあります。
確定申告自体を、税理士にアウトソーシングしてしまえば、日々の負担や手間のかかる帳簿作成などから解放されるでしょう。
副業に集中できることは間違いありませんが、税理士に依頼するには費用がかかります。
ざっくりとした相場ですが、売上500万円未満で10万円程度、確定申告のみで5万円程度の費用がかかるでしょう。
経済状況に合わせて検討しましょう。
税理士には、確定申告の依頼だけではなく、何が経費となるかなどのスポットの相談もできます。
わからないことを、問い合わせてみるのもよいでしょう。
税理士紹介サービスを、紹介しておきます。
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まとめ
- サラリーマンで確定申告が必要なのは「副業」で20万円以上所得のある人。
- 確定申告書の提出は、毎年2月16日~3月15日の1カ月間が原則。
- 住民税の申告は、副業所得が20万円以下でも必要。確定申告をした場合は不要。
- 確定申告をすると、所得控除や、赤字の繰り越しなどのメリットがある。
- 確定申告をしないと、無申告加算税、重加算税、延滞税などが課されるデメリットがある。
- 会社に副業が知られたくないなら、納税方法は普通徴収(自分で納付)を選択する。
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副業サラリーマンが確定申告に、どう対応したらよいのかが解ったと思います。
所得がいくらあったら、いつ確定申告をすればいいのかわかりました!
むずかしそうですが、楽をする方法もあるのですね♪
確定申告の必要があるのに、申告をしないのは絶対にダメですよ!
しなければならないのなら、工夫をすれば良いのです。
会計に慣れていない方、副業に専念したい方は、どんどん楽をするべきです。
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